エンタテインメントビジネスに新しいテクノロジーが投入されると、エンタテインメント自体の可能性は拡大することは間違いないでしょう。しかし、それがビジネスが拡大に繋がるとは限りません。逆に金銭的な負担が増えて、ビジネスとして縮小、消滅してしまうケースが多々あります。

通常のビジネスの場合、新しいテクノロジーはコストカットを目的に開発、導入されることが多いと思いませんか?初期投資はかさむものの、運用していけば回収できる見込みがあるから導入する。導入事例が増えていけば、テクノロジーのレベルも上がるし、導入コストも下がっていくのでより普及する。実に理にかなっています。

もちろん、エンタテインメントでもコストカットが目的のテクノロジーもあります。分かりやすいのはDTM(デスクトップミュージック)でしょう。今まではスタジオに入って、実際に演奏して、それを録音して、編集して…という一連の作業をパソコンだけで出来るようになったのですから、大変なコストカットです。このエンタメテックによって、より多くの人たちが手軽に楽曲制作することが出来るようになり、エンタテインメントの可能性も拡がりました。

しかし、エンタテインメントの世界では、その技術単体ではコストアップにしかならないテクノロジーが多々あります。もちろん、そのテックはクオリティアップをもたらすことは確かです。しかしエンタテインメントの場合、そもそもそのクオリティの「アップ」は必要なのかという問題を抱えています。

例えば「ハイレゾ」。CDでは記録することが出来なかったデータを追加した高音質を配信で届けるサービスの名称です。もちろんより良い音になっているのでしょう。しかし、従来とは一線を画す高音質を聞き分ける(聞き分けられると思っている)人以外にとってはこのサービスは不要です。新しいテクノロジーですから導入にはコストがかかりますので、そのコストを回収できるビジネスが出来なければ終了です。

エンタテインメントの世界では、クオリティアップすれば人々の感動は増えて、それに応じてビジネスは拡大していくと考えることが良く見受けられますが、導入する際には、本当にその「アップ」は必要なのか、ただのコストアップで終わってしまうのではないか、冷静な判断が必要なのです。


吉見 鉄也

ソニー・ミュージックエンタテインメント、田辺エージェンシー、コナミ、ドワンゴ、インデックスに社員として勤務。その後、フリーランスとして、ポニーキャニオン、Volcano(ギャル系モデル事務所)、夕刊フジ(コラム連載)、原宿東郷記念館(結婚式場)、ゲオホールディングス、ヨシハラ(クリーニング)といった多種多様な業界でのビジネスに携わる。 現在は株式会社イーフロを設立し、エニー(J:COMグループ)、ドキドキファクトリー(ライブ配信、ソーシャルゲーム)、ギリア(人工知能)での業務を中心に活動中。 趣味は読書(小説を年間120冊以上)、ランニング(年間2,000キロ目標)、俳句(下手ですが約20年間継続中)。

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